【11月8日 Xinhua News】中国湖南省(Hunan)資興(Zixing)市清江鎮(Qingjiang)代頭村(Daitou)には、古くからの村落建築が広がっている。中国村落文化研究センター調査チームの研究者によると、中国でこれまで知られている村落建築の中で保存状態が最もよく、規模が最大で、年代順がはっきりしており、今なお「生きた状態」で伝えられている。「廬(ろ、小さな家)」が集まって「聚(しゅう、集落)」や「衢(く、四辻、街道)」を形成する村落建築は、現代の低層階建て連棟式住宅「タウンハウス」に当たる。

 「廬」とは、農民が農作業のために田畑の中に建てた仮小屋を指す。農作業が増えるにつれて仮小屋も次々に建てられ、「聚」すなわち村落を形成した。「衢」は四方八方に通じる道のことで「街衢相経(がいくそうけい)」は中国の昔ながらの村落の構造を表す。中南大学(Central South University)中国村落文化研究センターの胡彬彬(Hu Binbin)主任は「代頭村は、中国の村落の起源や発展の過程、特徴が最もわかりやすい形で見られる」と説明する。

 代頭村は黄姓の人が集まった同姓村落で、現在の常住人口は256人。現存する民家の多くは2階建てで、独立式と連棟式の2つのタイプに分かれる。連棟式は一般的に2~3棟の独立した建物を左右につなげたつくりで、前後に「衢」が通るという整然とした土地区画を形成している。

 代頭村には完全な形で残された歴史的建物が60棟余りある。幅は23メートルから84メートルまでとまちまちで、建築年代は清代、中華民国初期~中華人民共和国成立前後、1980年代の3つに分かれる。胡氏によると、代頭村は中国の伝統的な村落の起源や移り変わりを記した歴史文献の裏付けとなることから、重要な文化的価値を持つ。「詩経」の「小雅・信南山」や「漢書」の「食貨志」「三国志」など、さまざまな文献が存在するが、初期村落の建築類型や空間構成がわかる実物はないからだ。

 代頭村の建築は歴史を実証、確認、補足する重要な文化財としての価値を持つだけでなく、建築文化を含む中国の伝統的な村落文化や、そこに暮らす一族の血縁のつながり、内在する文化の安定性と継承性を生き生きと今に伝えている。中国の伝統村落が初期の形のまま残された「生きた化石」であり、それを保護する意義は深く、学術研究上の価値は高い。(c)Xinhua News/AFPBB News