【10月1日 東方新報】中国で人気のスポーツいえば、サッカーや卓球、バスケットボールだが、「別格」な存在がバレーボール女子だ。近年は五輪やワールドカップ(W杯)で金メダル獲得が続き、国民は「王朝復活」と喜んでいる。そして「ある日本人」の名前も上っている。

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 日本で行われたバレーW杯女子(FIVB Volleyball World Cup Japan 2019 for Women)で9月28日、中国は最大のライバル・セルビアに快勝。開幕から10連勝を飾り、2015年大会に続き2連覇を決めた。これでW杯優勝は通算5回目。五輪でも2016年リオデジャネイロ大会などで金メダル3回、世界選手権は金メダル2回。世界三大大会の栄冠はついに計10回に達した。

 中国バレー女子が三大大会で最初に優勝したのは1981年のW杯。強烈なスパイクが「鉄のハンマー」といわれたエースアタッカー郎平(Lang Ping)氏を中心に、翌年の世界選手権、1984年のロス五輪でも金メダルを獲得する快進撃を見せた。

 当時の中国は、世界に門戸を開き、外資導入や経済の自由化を進める「改革・開放政策」を始めたばかり。世界の最新技術や文化を取り入れ始めたが、それは同時に「世界の中心」と信じていた中国が「世界で遅れた国」であることに国民が気づかされた時期でもあった。スポーツ界も多くの競技で世界の強豪に歯が立たない。その中でバレー女子は1980年代に世界大会5連勝を果たし、中国人のプライドを爆発させた。「苦難を恐れぬ女子バレーの精神に学べ」と代表選手たちは社会の模範、国民の英雄となった。

 1990年代は優勝から遠ざかったが、郎氏が2013年に監督に復帰してから、全てが変わった。若手を積極的に起用し、米国やオーストラリアからトレーニングコーチを招き、世界大会を次々と制覇していった。

 中国が世界トップに到達した理由は何か。まずはその身体能力だ。日本と同じアジアチームでありながら、中国選手の平均身長は187センチと「世界最高峰」を誇る。背が高く、運動能力が抜群の選手が豊富にいる。

 そしてもう一つが、日本に学んだスピードと技術の「オリエンタルバレー」だ。その歴史は、半世紀以上も前にさかのぼる。